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オープン・ウォーター~水(*)開く~
齋藤彰英個展「東京礫層:Tokyo Gravel」

強度の弱い関東ローム層に覆われた東京において世界有数の高層建築を可能にしたのは、ローム層の下に堆積する「東京礫層」と呼ばれる強度の高い地層です。これは約20万年前のかつての多摩川が、東京の西方に位置する山々を削り押し流した石の堆積層です。現在の多摩川は、山梨県笠取山の水干(みずひ)を水源とし、東京と神奈川を流れる全長138kmの河川です。しかし、悠久の時間の中で多摩川の流れは幾度も変わり、その都度、その流路に沿って東京全域に石を堆積させました。東京タワーや都庁ビル、近年ではスカイツリーなど、東京の高層建築はこの東京礫層に杭打ちすることで建設されています。
また、約8万年前に起きた立川断層を由来とする地震は、その地震による地形の変動によって当時狭山丘陵の北側を流れていた多摩川の流路を大きく南に変化させました。これによって狭山丘陵を穂先とした土地が多摩川に削られることなく残り、現在の武蔵野台地として形作られました。
本展では、東京に立ち並ぶビル群の光を俯瞰し、かつて流れていた多摩川の景色を浮かび上がらせていきます。

会期:2021年8月25日(水)〜9月5日(日)
12:00〜19:00(最終日は17:00まで)
Open(水-日) Close(月・火)
会場:iwao gallery
〒111-0051 東京都台東区蔵前2-1-27 2F
https://iwaogallery.jp/

August 25(Wed) - September 5(Sun), 2021
12:00〜19:00(Until 17:00 on the last day)
Open(Wed-Sun) Close(Mon, Tue)
at iwao gallery
2F, 2-1-27 Kuramae, Taito-ku, Tokyo 111-0051
https://iwaogallery.jp/

齋藤彰英 Akihide Saito (写真家)
1983年 静岡生まれ。多摩美術大学美術学部 情報デザイン学科芸術コース卒 業。東京藝術大学大学院美術研究科 先端芸術表現専攻 修了。 糸魚川静岡構造線や中央構造線、あるいはフォッサマグナといった日本列島 の形成史が刻まれた地形を歩き、数千万年に及ぶ時間の中で連綿と紡がれた 私たちの記憶を対象として写真作品を制作している。また活動の中で、水が 流体として示す造形に着目し撮影を行っている。

〈アーティストトーク〉
「東京礫層:東京をつくった川の記憶」

出演:齋藤彰英(写真家)、ゲスト:陣内秀信(建築史家/法政大学特任教授、オープン・ウォーター実行委員会監修)
聴き手:四方幸子(キュレーター、オープン・ウォーター実行委員会ディレクター)

オープン・ウォーター~水(*)開く~

「オープン・ウォーター~水(*)開く~」は、東京の歴史において豊かな水脈が果たしてきた役割をあらためて確認するとともに、水のもつ可能性をアートの創造力から掘り起こすことで、東京を21世紀の水都として活性化しようとするプロジェクトです。
かつて水都と呼ばれた江戸・東京は、街中を縦横に水路が巡り、水に向かって大きく開かれた都市でした。高度経済成長時代に交通や物流の主役を陸路に奪われると、水は都市の背後へと退き、わたしたちの生活から遠ざけられてきました。しかし、今も東京が豊かな水の都市であることに変わりはありません。今一度東京の川や海に目を向け、水の持つ豊かさに触れる機会を創りたい。 「オープン・ウォーター~水(*)開く」では、人々が東京の水と関わる機会をアートによって創出することを目指しています。

「オープン・ウォーター活動報告書2019」→PDF

mizuhiraku2020@gmail.com